『良い出会い』

京都府 滋賀大学医学部5回生 依田尚子

私は良い出会いに恵まれている様です。実に良いタイミングで、会うべき方達に出会えるような人生を歩んでいます。今回も、カイロプラクティックを通して、荒川先生と大下先生という素敵な先生方と出会うことができました。 私が先生方に御世話になり始めたのは、股関節の痛みをどうにかしたい、と病院も含めて色々試した末、カイロプラクティックではどうかな、と思った後です。

しかしながら、この治療は単に股関節の治療で終わらず、私にとっては意味深い経験となりました。 荒川先生は、症状には必ず原因があり、その原因を出来るだけ根本のレベルまで考え、それら全てを最善・適切に対処していきましょう、という姿勢で治療に臨まれます。その一つの例として、先生は「腰痛は怒りである」という本を紹介して下さったことがありました。私は腰痛にもなやまされることが多かったので、早速その本を読みましたが、精神的なストレスが腰痛を生むことを立証しようとする内容です。私が興味を示した様子を見た荒川先生は、すぐに更に別の本もいくつか紹介してくださり、是非読んでみるよう励ましてくださいました。内容は、ストレスや免疫に関することです。いづれの本も、要は、「病は気から」について考えてみましょう、とメッセージがあります。

私はここで、今一度自分を違った方面から見つめ直す機会を与えてもらったような気がしました。私は心配事や不安の原因を突き止めるのに夢中だったのですが、そういった心配事や不安感というのが自分の中で生まれて、自分の中に存在している、という根本的な事をじっくりと考えていないことに、ふと気付きました。

大下先生には、正しい姿勢での立ち方や歩き方を指導していただき、それを通して、大切な教訓をも沢山授かりました。正しい姿勢は、身体にとってどこにも無理や無駄がないこと(だから実はそれが身体にとって一番楽で且つ健康的な姿勢のはず!)、正しい姿勢は絶妙なバランスで成り立っていること、そしてそのバランスの良さ故に、それが美しい姿勢であること(だから見た目にも良い!)、習慣がその人そのものになるということ(だから正しい姿勢を習慣にすることは身体が楽になり健康になり美しくなること!)・・・ また、正しい姿勢は腹筋が基本であることも、大下先生は色んな話を例に挙げて説明してくださり、私の頭にたたき込んでくださいました。補正下着などあるけれど、頼れるのは自分の筋力だけです、と先生がおっしゃったときも、私ははっとしました。健康や美しさ、強さは与えられるものではなく、自分自身がそうなるもの、つまり自分自身が健康になり、美しくなり、強くなる、という考えに目覚めました。

カイロプラクティックや先生方との出会いを通して、人生に対する姿勢や生き方にも通じる、私が必要としていた貴重なメッセージを、よいタイミングで与えられた気がします。もちろん、股関節の痛みも快方に向かいました。痛みそのものの原因は、姿勢のくせによる骨盤の歪みのせいで左足が機能的に長くなってしまい、その結果歩行時に左股関節によけいな衝撃が加わり続けたこと、と一通りの説明がつきました。

良い出会いはには、すごいパワーがあります。股関節の痛みにはイヤな思いしかありませんでしたが、今は大切なことを学ぶ機会を与えてくれたものとして、(もっとも、もうどこかへいってしまったからということもあるでしょうが!)、もっとポジティブにとらえることが出来ます。先生方の「治療」は自転車の乗り方を覚えることのようだなぁ、と思ったことがありました。良い出会いは、一生モンの贈り物を与えてくれるのです。(2002/06/10)


先生のコメント:見過ごしてしまいそうな僅かなバイオメカニカル的異常であっても、ストレスなどの心因的な問題により、検者の予想に反して疼痛が増幅されて出現することがあります。学生さんは友人付き合いや学業・就職等で悩みがあったり、社会人の方は職場での人間関係や業務に係わるストレスなど、それぞれ交感神経の緊張を強いられることが多いようです。交感神経の緊張が継続されると、血管の収縮状態が持続し、血流障害が身体の各部に起こります。また交感神経の緊張は顆粒球の増加を招き、組織破壊の炎症をもたらすということも報告されています。こうなると炎症は単に筋骨格系にとどまらず内蔵組織に牙を向くということまで実証されています。病因というのは細菌やウイルス、外傷、食生活といった対象以外でも起こるようで厄介なものです。心因的な問題が関与しているようなケースでは、バイオメカニカル的な異常を解決する試みも、対症療法をしているような結果に終わることさえあります。以上の理由により、これからも健やかに過ごして頂けるよう願いも込めて、交感神経の緊張を持続させないことを目的としたアプローチを試みました。写真の依田さんの表情は実にいいですね。周囲の空気も和やかなものへと一変させるその笑顔に、交感神経の緊張などタジタジで退散してるでしょうね。
 大下さんが担当した「正しい立ち方・歩き方」は、「プロプリオセプターのトレーニング(Propriocetive training)」と呼ばれるもので、大脳皮質が覚えた運動パターンを足からの刺激で頭脳に再教育させます。すこし専門的になりますが、このトレーニングは、足部から中枢神経CNSに機械受容器的求心性の刺激を与える目的で行っています。

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