THE BODY AS COSMOS

かつては、人体と星辰とを結びつけた。ここでは、大宇宙と小宇宙との間に、構造的な対応がある。自然科学の進展と共に、両者は確実に無関係なものとして、分離していく。しかし、両者は、相変わらず「脳で」結びついているのである。そもそも両者を結びつけたのも脳である、切り離したのも脳である。〈ロバート・フラッドによる 17世紀〉

身体という宇宙。…@

大宇宙に対すると言われるほど、複雑で神秘に満ち満ちた人間の身体。しかし、ある根本的な支配法則がなければ、これほど多種多様な機能をバランスよく発揮できるはずがありません。その謎に迫る。―カイロプラクティックは、そこに新たな生命観を生み出したのです。また、複雑な数式や科学式で表現されるハード科学のみを「科学的」とみる風潮がありますが、本来は、ペニシリンや万有引力などのように、すべての科学の出発点は偶然の産物でした。ただし、数式化しにいく分野もあり、「人間の科学」は、その筆頭と言えるでしょう。カイロプラクティックは、その「未科学」に挑んでいるのです。

A View of Life カイロの生命観

カイロプラクティックの生命観は、古代ギリシャやインド、東洋などの生命観に共通した考え方を持っています。それは、現代の科学から見れば、神秘的な生命思考と言えるかもしれません。

「医学の父」と呼ばれたヒポクラテスは、野生動物の本能的治療を持ち出すまでもなく、どんな病気でも、病人を回復させる一番の力は「自然治癒力(Vis medicartirxnature)」であると考えていました。したがって、医者の役目は、このエネルギーが正しく流れるように障害を取り除くか、少なくすることである、と説いています。東洋医学にも「気」という概念があり、このエネルギーが身体中を循環して、生体を維持しているという考えに基づいているのです。

同様に、伝統的なカイロプラクティックの教えも、D・D・パーマーの説いた「イネイト・インテリジェンス(先天的知能)という生体エネルギーの仮説を発展させていきました。パーマーは、「このイネイト・インテリジェンスが神経系を通して、身体中くまなく伝達されている」と考えてたのです。そして、病気はイネイトと呼んだこの生体エネルギーの流れが妨げられた時に生じると考え、カイロプラクティック治療によって、その障害を取り除くことができると説いたのです。

現代医学の知識をもって、このカイロプラクティックの生命観や治療の原理を理解しようとするならば、まず「イネイト」の存在を理解することから始めなければ充分とは言えないでしょう。しかし、イネイトの存在を現代科学で実証することは難しく、実際、カイロプラクターの間でさえ、イネイトの原理については統一されていないのです。中には、宗教的な観念で説明する意見もあり、当時、カイロプラクティックが医学の世界に容認されなかった理由の一つが、このイネイトにまつわる生命論にあったのも事実です。

それも今では、新たな知識による今日的解釈が試みられています。イネイトは、正しい身体の内的外的環境を統御し、身体を健康状態に保つ力であり、メカニズムである。という理解であります。しかし、この問題の真の解決は、後世の研究に委ねることになるでしょう。

イネイトという超科学の生命観を、ひとまず置いて、カイロプラクティックは、神経生理学の知識に基づいた新たな生命観を構築していきました。それは、神経系が身体の主要な制御組織であり、神経インパルスの正しい伝導の阻害が身体の機能障害や病気を誘発するという考えです。こうして、筋肉・骨格系の構造的トラブルが、神経系への影響による身体の不調和をもたらすというカイロプラクティックの考え方は、基礎医学の裏付けのもとに、新たな視点の生命観を生み出したのです。

時代は、今や大きな転換期を迎え、唯物主義者的な現代科学のパラダイム(思考の枠組み) を乗り越えようとする新たな動きが台頭してきました。ニュー・サイエンスという潮流です。現代科学の枠組からは、生命の一側面しか見えてこない。そこで、角度を変えて、生命の姿を見つめ、そこから人間の潜在的可能性を探る、別な側面の科学なのです。

そういった柔軟な姿勢で、生きた人間を見据えた時に、カイロプラクティックの伝統的な生命観である「イネイト」の存在も、将来白日のもとに明かされる時が来るに違いありません。こうした新たな「生命思考」によって、「生体エネルギー」というカイロプラクティックのダイナミックな生命観が証明されることを期待したいものです。

カイロの科学性

民間治療として世に出たカイロプラクティックは、その驚異的な普及に呼応するように、当然の如く、医学界の格好の批判の的となりました。その多くは、「カイロプラクティック・アジャスメントはすべての病気を治す(Cure all)」という世評に対して、それを実証する科学的根拠がないという点に向けられていました。「イネイトが治す」という説明では、医学という分野であまりにも説得力を欠いていたのです。

しかし、インチキ治療という非難や、カイロプラクターを締め出そうとするアメリカ医師会の画策にも屈せず、彼らはそれらと闘い続け、ついには今日の地位を勝ち取ったのです。そのカイロプラクターを勇気づけたものは、非難の声にもまして、「カイロプラクティックのおかげで病気が治った」という人の数が、うなぎ上りに増えていったことでした。同時に、この事実を裏付ける科学的研究にも、心血を注ぐことを忘れなかったのです。これはカイロプラクティックを支持する声にもまして重要なことでした。

デカルト以来の心身二元論に基づく現代科学の手法は、生命を全体として捉えようとするカイロプラクティックにとって、適切な手法とは言えません。そもそも人間を対象とした科学は、すべて「未科学」の状態であり、「事実」を冷静に見つめながら、そこに存在する因果関係を追求していく姿勢の中にも、科学は存在するのです。その意味では、カイロプラクティックの科学は、「理論から事実」ではなく、「事実から理論」の証明でありました。

このカイロプラクティックの科学の果敢に取り組み、カイロの学問的レベルの向上に貢献したのが、J・ジェンシーやJ・R・バーナーらでした。彼らは、新しい神経生理学の知識やベーシックサイエンスから、カイロプラクティックの理論的根拠を求めていきました。 それまでの「椎骨のずれが神経を圧迫する」といったカイロプラクティックの根拠の不充分さを指摘した彼らは、圧迫のないサブラクセーション概念を打ち出しています。

こうして関節障害に注目した一方、「全体であると同時に個である」という生物学的認識論(ホロン的概念)にカイロプラクティックの理論的根拠を求めていきました。それは、医学医療の盲点とも言える分野に目を向けた新しい見方だったのです。

カイロプラクティックは、あらゆる治療法と同様、限定的な治療法であることは否めません。しかし、その特色は、著しい効果を発揮し、健康と疾病の関係に新たな視点を提起した治療学ということでもあります。

カイロプラクティックの基本的論原理を簡単に表現すると、生物学的な根拠に立脚しています。言い換えれば、カイロプラクティックは、人間が二足歩行である故に生み出された必然の原理と言えます。人間は直立することで自由になった手で道具を使うことを覚え、物を捕まえたり、つくったりすることで脳を発達させ、考えることを可能にしましたが、その反面、重力に抗した直立姿勢からくる宿命的な欠陥は意外に知られておりません。

実際、脊椎を中心とする人体力学の機能的研究は、最も遅れている分野と言えましょう。人体特有のS字カーブの脊柱は完成美のように見えますが、南カリフォルニア州大学のR・カリエ教授は「人間の背骨は決して完成されたものではなく、いまだに重力に対応する進化の過程である」と言い、カークスビル大学のH・ライト教授は、「今日われわれが直面する多くの健康上の問題は、直立姿勢に対する不充分な適応からもたらされている」と述べています。

この分野で最も進んだ研究と臨床実績を積んでいる、ナショナル・カイロプラクティック大学のJ・ジェンシー教授は、「人類が直立姿勢であるという事実は、骨格・筋肉系と神経系との相関関係を非常にユニークなものにしており、カイロプラクティックでは特にこの点を重視している」と語っています。

では、カイロプラクティックの理論的根拠になっている、直立姿勢が人体に及ぼす影響について考えてみましょう。

人間と他の動物を比較すると、構造的には非常に類似点が多いにもかかわらず、二足動物と四足動物ではタテとヨコの関係にあり、各部の働き(機能)にはかなりの差があることに気づきます。人間の構造は、本来バランスのとれた四本柱(四足)の設計から、重力に逆らう二本柱(二足)となって、いままでなかった余分な働きや負担が、骨格・筋肉・靭帯等に強いられることになったのです。

特に腰部には、構造上最も大きなストレスがかかり、前かがみになって何かを持ち上げる時に感じる不安感と痛みは、ほとんどの人が経験しています。

直立姿勢では、骨盤は、新たに生殖器や内臓諸器官を支える床の役目を強いられてお皿状に変わり、しかも運動性を維持するため、仙骨は前傾斜となって産道を狭め、難産の原因になっているのです。幼児期の未骨化な腰部、骨盤への加重は、成人期において多くの変形をもたらしています。

カイロプラクティックは、このような直立姿勢からくる構造的ストレスと、派生した機能不全を研究する学技であります。とりわけ直立姿勢からくる骨格・筋肉系・特に脊椎と骨盤における構造的な「ずれ」が神経の伝動障害となり、その支配する組織や器官に機能障害を起こします。

疾病は、単に心臓・肝臓・胃などの組織や器官にみられる形態(器質)的変化だけでなく、それら組織や器官による動き(機能)によって引き起こされるのです。

このような機能異常は、身体のコントロール・メカニズムである神経系による影響が非常に大きいと言われます。ソ連の生理学者スぺランキーは、疾病の発生、経路、病理変化を決定する因子として、神経系が非常に重要な役割を果していることを、実験によって証明しています。

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